芸術家ルソーとピカソ、二人の天才の間で繰り広げられる熱い芸術物語。
原田マハさんは自身がキュレーターとして活躍されていることもあり、国内外の様々な芸術家、そしてその作品を題材としたアート・フィクション小説を数多く出版されていることで有名な日本人小説家です。私が一番最初に読み、そしてアートの世界に踏み込み始めたきっかけとなる小説もこの「楽園のカンヴァス」でした。
ルソーの描いた『夢』という油彩画。それに対し、とあるコレクターが、自身が持つ『夢』に酷似した作品『夢を見た』の真贋を正しく見極めた者に、その作品の取り扱い権利を譲ると宣言するところから始まる物語。主役の織絵とティムというキュレーター二人は、ピカソとルソーが共に生きた過去を紐解きながら『夢を見た』の描かれた背景に迫っていく。
誰もが知るピカソとルソーという芸術家たちと、ルソーの『夢』が持つ魅惑的な絵画表現。フィクション小説でありながら現実に即している部分もあり、とてもリアルな読み味です。また何より、「芸術家」と呼ばれる二人の絵に対する熱い想いが感じられ、勢いで読んでしまうほど胸熱な小説です。
芸術・アートをもっとラフに知りたい
アートに少し抵抗を感じるが興味がある
ここじゃない夢のような世界に没頭してみたい
そういった方々の心に必ず刺さる一冊です。
本書の内容(目次)
- 第一章
- パンドラの箱 二〇〇〇年 倉敷
- 第二章
- 夢 一九八三年 ニューヨーク
- 第三章
- 秘宝 一九八三年 バーゼル / 一九〇六年 パリ
- 第四章
- 安息日 一九八三年 バーゼル / 一九〇八年 パリ
- 第五章
- 破壊者 一九八三年 バーゼル / 一九〇八年 パリ
- 第六章
- 予言 一九八三年 バーゼル / 一九〇八年 パリ
- 第七章
- 訪問-夜会 一九八三年 バーゼル / 一九〇八年 パリ
- 第八章
- 楽園 一九八三年 バーゼル / 一九〇九年 パリ
- 第九章
- 天国の鍵 一九八三年 バーゼル / 一九一〇年 パリ
- 第十章
- 夢をみた 一九八三年 バーゼル
- 最終章
- 再開 二〇〇〇年 ニューヨーク
-
- 解説 高階秀爾
BOOK INFORMATION
楽園のカンヴァス
定価:710円
著者:原田マハ
出版社:新潮社
出版:2014/7/1
ニューヨーク近代美術館のキュレーター、ティム・ブラウンはある日スイスの大邸宅に招かれる。そこで見たのは巨匠ルソーの名作「夢」に酷似した絵。持ち主は正しく真贋判定した者にこの絵を譲ると告げ、手がかりとなる謎の古書を読ませる。リミットは7日間。ライバルは日本人研究者・早川織絵。ルソーとピカソ、二人の天才がカンヴァスに籠めた想いとは――。山本周五郎賞受賞作。
〈出版書誌データベースより〉
