アメリカ、グラフィックデザインの巨匠ポール・ランドの美学と問題解決にあたる思考に触れることができる対談本。
ポール・ランドは、スティーブ・ジョブズがかつて設立したソフトウェア会社NeXTのCIや、世界的IT企業IBMのCIを担当するなどその他多くの功績を残した、アメリカのグラフィック界でも特に権威のあるデザイナーの1人です。本書のメインは彼と、彼の講義に参加していた生徒たちとのコミュニケーションの記録を文章化したもので、彼のデザイン講義に参加している立ち位置で読み進めることができます。
イェール大学で教鞭を取られていた彼がまず生徒たちに教えていたことは「すべての芸術(デザイン)は関係性である」という考え方です。何もないところに物を置く、形を置く、するとそこには必ず何かと何かの関係性が生まれます。図と地、オブジェクトとオブジェクトの関係性、ひとつの色にも原色と原色の関係性がそこには含まれています。それらすべての関係性に対して、美学的な思考と、様々なビジュアル条件を検討しながら最適なアウトプットに近づけていくこと。それが彼のデザイン手法の最もベースとなるアプローチとなります。
また、さまざまな要素の関係性を適切な定義をもって整理していくには、デザイナーそれぞれに「美学」の教養が必要だと彼は述べています。「美学」はまさに、形と中身の研究、そして関係性について考察したもので、普遍的に活躍できるデザインを生み出していくためには学ぶべき学問であるとのことです。美学の必要性は、デザインを生業にしている人には、実感として理解していただけるはずですね。
デザインセンスに磨きをかけていきたい
自身のデザインプロセスがうまく体系化できていない
デザインについて、どう学んでいけばよいのか分からない
そういった方々にとって、数多くの気づきを与えてくれる間違いのない一冊です。
また本書の中で、ポール・ランドさん自身が紹介するいくつかの本もピックアップしていますので、今後紹介していこうと思っています。
本書の内容(目次)
- 序文 ウォルフガング・ワインガルト
- はじめに
- 謝辞
- 対話1
- 対話2
- ポール・ランドに寄せて
- フィリップ・バートン
- ジェシカ・ヘルファンド
- ステフ・ガイスビューラー
- ゴードン・サルコウ
- アーミン・ホフマン
- 参考文献
- クレジット
BOOK INFORMATION
[新版]ポール・ランド、デザインの授業
定価:1400円
著者:マイケル・クローガー
翻訳:和田 美樹
出版社:ビー・エヌ・エヌ新社
出版:2020/5/23
[新訳にて待望の復刊!]
20世紀を代表するグラフィックデザイナーであり
デザインの教育者でもあったポール・ランドが、
鋭い洞察力とユーモアで学生や同僚たちに語りかけた
目からウロコのデザイン講義録。
2008年に刊行され、 多くのデザイナーからの支持を得た『ポール・ランド、 デザインの授業』を新訳にて復刊。IBM、 UPS、 ABC など、誰もが見たことのあるコーポレートロゴを数多く手掛けたポール・ランド。時代に淘汰されないデザインのための哲学、 教育者としての厳しさと優しさに触れられる、 座右の書。
〈出版書誌データベースより〉
